葛根湯で女性化?!そしてドーピング

スペシャルサンクス生薬のS教授&内分泌のK教授

 は〜ぃ生薬の話です(笑)。葛根湯って知ってますでしょうか?これは漢方薬の一種で、よく風邪とかに使う薬です。ひきはじめには葛根湯って感じで、結構医者も風邪のヒトだと適当に葛根湯処方しちゃうヤブ医者もいます(爆)今は・・・どうなんだろうねぇ・・・漢方見直されてるから、きちんと症状の重さによって違う感冒薬処方してると思いますが・・・
 とまぁ、横道にそれるのはこの辺にして・・・実はこれ飲み過ぎると胸が出て来ちゃうんですわ・・・爆。って笑い事じゃないね・・・汗。なんでかっつぅと・・・葛根湯というのは簡単に説明すると「葛根、麻黄、大棗、桂皮、芍薬、甘草、生姜」の生薬を特定の割合とか症状によって少し割合を変えた漢方薬の事です。このカッコンというのがくせ者でして・・・コイツのために胸が出てきてしまう事があるのだ!!ちなみに・・・カッコンを含む他の主な漢方薬は「葛根黄連黄ゴン(表示できん・・・爆。草冠に今って書く字)湯」「葛根紅花湯」「葛根湯」「葛根湯加川セン(草冠に弓)辛夷」などです。ほんでだ・・・このカッコンに含まれる成分のgenistein(構造式立体)、formononetin(構造式立体)が弱い卵胞ホルモン様作用をしてくれるのが原因なのです。卵胞ホルモンとは女性の身体つきなどを形成するようにするホルモンですから、身体が女っぽくなる・・・つまり胸が大きくなったりするわけですね(これを女性化乳房という)。女性のヒトはホルモンが分泌しすぎると女性器の癌になったりするわけです。だけど、そんなに沢山取らなければ大丈夫なので安心してください。ちなみに、卵胞ホルモン(卵胞ホルモンで一番作用の強いエストラジオールの構造式立体)は臨床応用としては前立腺肥大、前立腺由来の癌や、更年期障害、骨粗鬆症などに利用されたりもするので(卵胞ホルモンは骨吸収を抑制する効果があるため、血中にカルシウムが出ていってしまう骨粗鬆症を抑える)、そのうち臨床的に利用されるかもしれませんね(もっといい薬があるから多分ないけど・・・爆)。ちなみに、植物には女性ホルモン様作用物質が含まれている事が多いそうです。なので、カッコンほどではないけど、genisteinやformononetinを含むものが多いそうです。さらに、この生薬に含まれている卵胞ホルモン様作用物質もそうなのですが、人工の女性ホルモンにはステロイド骨格(変形取トリテルペンの一種で、動物はコレステロールが代表的。このコレステロールから、性ホルモン、胆汁酸類、ステロール類、副腎皮質ホルモン類が合成される。プロビタミンD類もこれに修飾を受けたもの。昆虫の脱皮ホルモンもステロイドホルモンである。コレステロールの構造式立体)というものを持たないホルモンがいくつもあります。ステロイドホルモンというのはステロイド骨格をもたないと作用しないのですが、卵胞ホルモンは特別らしくこの骨格がなくてもさようしてしまいます。例として女性の制癌剤として使われているジエチルスチルベストロール(構造式立体)という薬があります(現在は副作用が強くて医薬品として使われておりません。この物質の誘導体は現在でも使われています)。カッコンに含まれている成分も全くといっていいほどステロイド骨格らしきものを持っていませんね?ステロイド骨格を持たない人工の女性ホルモンと同じですね。
 さらに蛇足として、思春期に男性のヒトはよく解ると思うんですが、胸が少し大きくなった方は結構いると思います。なにぶんナイーブな年頃ですから(爆)結構ビビるんですよね(笑)あの原因もついでにココで説明しちゃいましょう。
 女性ホルモンというものは男性ホルモンから作られます。以外でしょ?男性ホルモンの代表のテストステロン(構造式立体)はコレステロールから生合成されますが、女性ホルモンの代表であるエストラジオール(E)はテストステロンからアロマタイゼーションという変換の反応をして作られます(テストステロンのカルボニル基〈O=〉ついている環がエストラジオールでは芳香環〈aromatic ring〉になっていますのでアロマタイゼーション)。特に脂肪細胞でこの反応が盛んなので、女性は男性に比べ脂肪が付きやすいのです(なので、無理にダイエットすると女性っぽくなくなるのです)。思春期ではテストステロンの分泌が高まるとアロマタイゼーションが亢進してEの生成も高まることが、しばしば男性でも見られます。この時に女性化乳房になるのです。この男性ホルモン、女性ホルモンのバランスによって男女の身体つきは決まってくるので、ドーピングで男性ホルモン(主にタンパク同化ホルモン。「男性らしさ」の身体つきを作るホルモンで、タンパク質・・・つまり筋肉が沢山つく)を投与しすぎると女性は男っぽくなってヒゲが出てきたり、声がガラガラになってしまう、ヒドイときは閉経や不妊症に陥る事もあります(現在知らずにドーピングされていた選手たちが告訴している事件も多数ありますし、実際に判決が下されたものも多くあります)。男性の方は最初は男らしくなったり、性欲が高まったりしますが、女性ホルモンの生産も次第に増えていきますので女性乳房や、性器の萎縮(人体はその臓器が作っているホルモンがたくさんあると作るのをやめて、最終的には萎縮していってしまいます)、性欲がなくなったり、勃起障害なども起こります。また、両方の性別にいえることですが、肝臓機能が大きく低下します。最近はプロでなくてもアマチュアのボディービルダーなどもサプリメントとして男性ホルモンを投与したりしていますが、副作用が大きいので注意しましょう。
 このようにドーピングして副作用が出てしまったので自分で治そうとヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)や排卵抑制剤を使って抗女性化作用に期待してホルモン剤を飲むヒトがいますが、確かにホルモン剤の飲み過ぎて分泌が低下していた男性ホルモンの分泌が増えるのですが、同時にエストラジオールの産生も促進するのでもっと酷くなる場合があります。もしも、女性化乳房などの女性化が起きてしまったら、素人療法はせずに専門のお医者さんに恥ずかしがらずにちゃんと説明して治療して貰いましょう。よく普通のお医者さんより薬に詳しいマニアな方がいますが、医療系の学問はその他いろいろな事を体系的に学んだ上で意味があるので、思わぬ火傷をするので注意です。