どうもっす。結局生薬は死にました(苦笑)。んなわけで、まだ試験あるんだけど、今日も一段落っと。今回は生体で使う伝達物質の安定性みたいな話(笑)。そんな難しい話をするわけではないので、肩の力を抜いて聞いてくれや(聞くっていうか読み物だな・・・笑)。まずは伝達物質ってなんぞや?って事で、簡単に説明しますと、んまぁセロトニンだとか、エピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)やら、興奮したり安心したりとそんな作用をしております。麻薬成分とかはここら辺に作用するんだね。これら伝達物質というのは受容体というのに結合することで反応を発現させるんだけど、それの多い少ないで作用の仕方が違って、結合の多少によってアナログ的に作用しております。例えばプラスを発現させる物質が多く受容体に結合するとプラスが多くでます。逆にマイナスを発現する物質が多く受容されれば、多くマイナスがでて、少なく受容されれば、少なくでます。蛇足ですが、この辺は神経伝導とは違う所で、神経はall
or noneって感じで「あるなし」のデジタル的制御を受けています。この2つを上手く利用することによって生体では情報のやりとりがされています。でだ、この伝達の方の物質の安定性なんですが、もう一個蛇足で、多くの動物では伝達は物質で行われておりますが、金魚やザリガニなどは化学的ではなく電気的に行われているので、どちらかというと神経系に近いような作用の仕方をしています。で・・・話を戻して・・・・この物質は受容体と結合することによって作用を発現しますが、もし全く分解されない物質だとすると、受容体とくっついたまま離れないとか、何度も何度も受容されてしまうという状態になります。これは大変だよね?少しの量でも多くの量を与えているという事と同じになります。なので、基本的に伝達物質というものは分解しやすい物とか、使用したらすぐに分解できるものを使います。なので、セロトニンやエピネフリンなどはもぉ〜すぐにアミノ酸などに分解されてしまいます。麻薬などは分解されにくく作ってあったりするので、作用がとっても強かったり、エンドルフィンなどという脳内麻薬は麻薬よりも超強力に作用するわけですが、すぐに分解されるので、依存症などにはならずにすむのです。
ここで、そんな物質の一つにNO(一酸化窒素)という物質があります。ちょっと化学や生物をやったことがある人だと変だな?って思うでしょ。だって、生体内で使われる物質はもっともっと複雑な有機化合物である場合が多いのに、こんなシンプルな無機化合物であります。しかし、シンプルだからと言って侮ってはいけません。こいつはちょっとすごい作用をしております。具体的には血管弛緩作用を持っています。少し詳しく説明すると、NOはL-Arg(アルギニン)から作られGC(グアニレートシクラーゼ)というヘム酵素(鉄を含むポルフィリン)に配位してcGMP(サイクリックGMP)を賛成します。このcGMPは血管平滑筋を弛緩させるのです。これにより血流量が増します。狭心症の薬であるニトログリセリンはNOを直接放出し、バイアグラはcGMPの分解を阻害するために血管を広げ血流量を増やして、それぞれの作用を発現するのです。ね、すごいでしょ?
しかし、こんな凄い作用を持っていると言うことは実は超ヤバイ物質なのです。ヘム鉄に結合すると言いましたよね?この結合力が強いのでヤバイのです。CO(一酸化炭素)がヤバイのは人間のエネルギーであるATPを産生する電子伝達系でのコンプレックスIVという複合酵素のヘム鉄に酸素よりも強烈に結合してしまうため、酸素運搬をしているヘム鉄であるヘモグロビンに酸素を利用することができなくなってしまうためヤバイのです。実は、COは普通にヘム鉄と結合すると酸素なんか相手にならないほど強烈に親和性が良いのですが、酸素は折れ線型で結合していて、COは直線で結合しています。生体はここで特殊な事をして酸素の方が親和性をよくしました。それは直線だと障害がでるように邪魔な物を置くことにしたのです。これにより直線的に結合すると他の場所にぶつかってしまうため親和性が落ち、危険性を多少押させる事ができるようになりました(それでも強烈ですが・・・)。で、このNOというやつは酸素と同じ折れ線型で結合してしまうのです。つまり、立体的障害もなく結合できてしまいます。そして、酸素よりもヘム鉄との親和性は全然いいので、どんどん結合してしまうと電子伝達や酸素運搬が行えず死んでしまいます。では、なぜ死なないのか?というと、ここで安定性が出てくるのです。NOはとても不安定なため、すぐに分解してしまいますので、少量しかヘム鉄に結合できず、いろいろな作用を示すのです(逆に言えば、強力ですぐ分解するので、少量でも作用が現れる)。そんなわけで、NOもエンドルフィンもすぐに分解しないと生命に危険なものとなってしまうため、伝達物質は不安定な物が多くなっているというわけです。