今度はIRのお話。これはinfraredの略で、赤外の事です。そう、コタツなんかである温まる〜♪ってやつですわ(笑)んまぁ、この温まるっつぅのは実際は遠赤外ってので、分析で使ってるのは、近赤外と遠赤外の間の普通の赤外領域なんだけどね。UVよりもエネルギーが小さいので、電子の遷移っていうのはほとんど起きなくて、UVではおまけみたいな反応だった伸縮や振動が主な反応になります。分子中の原子間の結合っていうのは、電子を出し合ったりして結合しているんだったよね?これって、実際は原子同士が電子を出し合うというよりも、結合する事により、単独の時よりも安定な軌道を作って、その軌道に電子が入るって仕組みになっています。この軌道は原子同士を包み込むような感じになっています。丁度キャンディーを包む紙みたいなもんかな?あんなの想像して。包みの中には2個のキャンディー(原子)が入っているんだ。ということは、包みが伸びればキャンディーの間を包みの上から、ねじったり、ひっぱったり、折り曲げたりできるよね?この原子間の「伸縮」「振動」をIRの機器で感知するわけ。この結合を伸縮や振動させるエネルギーがIRくらいのエネルギーに相当するんだね。原理的にはUVとかと同じだ。だからLanbert-Beerの法則もなりたつよ。
さらに、結合の強さって結合している原子同士によっても変わるし、その物質のおかれた状況によっても変わるよね?例えば炭素−水素、炭素−炭素間での結合の強さは電気陰性度が炭素と水素では違うから結合の強さは変わってくる。同じ窒素−水素結合の一級アミンの窒素−水素での結合と二級アミンの窒素−水素での結合の強さでさえ違う。これは一級アミンはアルキル基が一つだが、二級アミンはアルキル基が二つって所にある。アルキル基の方が多くは水素よりも電気陰性度が大きいので、そちらに電子が流れるため窒素−水素の電子密度が低下するためと考えることができるね。炭素−炭素での結合でもグラファイトとダイアモンドじゃ全然違う。この差を利用して特殊官能基や物質の状態を調べることが可能なんだ。こんな細かい事もわかるので、カルボン酸が二量体を形成しているか?とか、同じ構造式の物質でも結晶が違うってのも分析することができるんだね。例えば氷と水、ダイアモンドとグラファイト、硫酸銅と硫酸銅水和物などなど判別する事ができるんだ。