そんなわけで、今回はUV−VISの話。UVって「UVカット」とかでよく聞くあれですわ。紫外線。ultra
violet(スペル違うかも・・・)の略ね。超紫・・・・虹を想像してください。もぉ〜めっちゃ紫より外側の透明な所じゃぁぁぁぁ!!って事。そのまんまだね。ここの光と、VIS(visible)・・・可視光線の光を利用した分析法でやんす。光の話はX線の時の話と一緒ね。波長の少し短いのから、普通くらい・・・数値的に言うと200nm〜400nmあたりが紫外領域で、400nm〜800nmあたりが可視領域です。んまぁ俺ら人間はこの400〜800nmあたりを色として認識できるんだね。前の他の動物は違う領域が見えてるぞって話を参考にしてくれると分かりやすいと思う。
原理としては・・・・色を見ている事になる。つまり可視領域では観測者は人間なわけだから、緑とか青とか見えるよね?滴定とか紫キャベツ液とかの指示薬で色がつくってのと基本的に同じ。色が付くって事は、特定の波長の光を吸収or発しているのどちらかなんだね。詳しく説明していくと、吸収の方は、例えば赤く見える色紙を想像して欲しい。これは、太陽の光・・・つまりいろいろな波長を含む光を受けると、「赤」以外の光を全て吸収してしまうんだ。で、赤のみが反射して観測者の目に入ってくるから、赤色に見えるわけ。ダイビングしたことがある人は解ると思うんだけど、水中にはいっちゃうと赤色って黒く見えるんだよね。これは水って青く見えるよね?これって空の色が写ってるんだ。空の色は青・・・つまり青色の波長が届いているって事。青だけ丁度長さがピッタシだから青く見える。だけど、波長が長くなっていくと、他の色が見えてくることがある。夕焼けって遠くの方に太陽があるよね?地球は球体なわけだから、真上にある時より、斜めに光は射し込んでくるわけだから、今度は波長が長い方が届きやすくなる(この辺は空気中の分子にうち消されたりして、丁度届く波長が選択されている。X線結晶解析の時と同じだね。)。だからより波長の長い赤色になるから、夕焼けになるんだね。これと同じで水中では赤い光は届きにくいので赤い外吸収してしまう赤色は水中では全て吸収しちゃうから黒く見えるんだね。発光して色が見えるタイプは、その物質が特定の波長・・・例えば赤に見えるのであれば赤の波長のみを発しているから、観測者の目に入ってくるのは赤だから、赤く見えるわけ。そして、これは前に哺乳類は紫外線が見えるって話と同じく、人間に赤く見えているだけの話で、他の動物には違う色に見えている事に注意。つまり・・・・紫外領域では人間では透明に見える物が、実は色がついている・・・って事があるかもしんないの。で、実際ついているわけで、それを利用したのがこのUVってわけだね。
で、本格的な原理になるわけだけど、原理は至ってシンプル。溶液に特定の波長の光を透過させて、どのくらい吸収したか?って事を計るだけ。溶液の濃度が濃くなれば、それだけ分子がいっぱいあるから、透過する光は少なくなるよね?だって分子に遮られちゃうんだもん。アメとか作ったことあるかな?中に空気とか入れまくると透明度が落ちて白っぽくなるよね?丁度そんな感じだ。さらに、溶媒を入れている層の長さが長くなればなるほど、これも透過度が落ちて来る。これは曇りガラス1枚より、10枚重ねた方が透明度が落ちるのと同じだね。この透過度を最初の光の強さをI0、透過後の光の強さをIとすると透過度=I/I0で表されるよね。100あったのがどれくらい残った?って事だね。んで、こいつの逆数を対数でとってやると比例の関係になるって法則を見つけた人が作ったのがLambert-Beerの法則。この逆数の対数を吸光度(A)とする。つまり式で表すと、A=kclって事になる。kはその物質特有の定数で、cは濃度、lは層長だね。簡単な法則だよね。でも発見した人はすごい!!
で、さっきも話したように波長によっては色が見えたり見えなかったりするんだ。例えば赤外線カメラでは赤色は写らないって話あったよね?これと同じように特定の波長では色を出すんだけど、他の波長では色が出ないって性質があるから、これを利用していろいろな波長で調べてやるとチャートを得ることができる(色がつくって事はそこにたくさん光が吸収されたって事)。これを利用して物質を濃度だけじゃなく性質も分析しちゃうんだね。
ほんでさ、実際ねUVってのは電子の励起状態を調べているんだ。分子などの電子っていうのは通常は基底状態っていう安定した状態にいるんだね。これにhνという光エネルギーを吸収事によって励起状態ってのになるわけだ。光を吸収するから色が付くってわけだね。この励起状態ってのになるには電子が動くわけだから、電子の軌道の話が重要になってくるわけ。話を簡単にするためにエチレン分子で例をあげてみよう。

エチレン分子です。白いのが水素原子で水色のが炭素原子です。炭素−炭素間は二重結合でくっついており、炭素−水素間は単結合でなっています。炭素−水素の結合はσ結合一本からなって、炭素−炭素間はσ結合が一本、π結合が一本の合計二本ですので、二重結合となります。σ結合の軌道は結合性のσ軌道と、反結合性のσ*軌道の二つがありますが、σ*はエネルギーが大きいので通常は電子が入らず、σ軌道に水素からの電子1個と炭素からの電子1個が逆平行となってσ軌道に存在しています。つまりこの状態が普通の状態なので基底状態というわけです。だから、強烈なエネルギーを与えてやれば電子はσ*に移り励起するわけです。しかし、σ→σ*遷移(電子がσからσ*へ移る現象)は、あまりにもσとσ*のエネルギーが離れているためUVのエネルギーではほとんど起きません。もっと強烈なγ線などを照射すれば可能です。では、炭素−炭素のσ結合はどうか?これも炭素−水素間と全く同じです。しかし、炭素−炭素間ではπ結合が存在します。π電子も同じようにπからπ*への移動は行えます。これをπ→π*遷移といい、軌道のエネルギー順位はσ<π<n(非結合性。つまり結合に関与しない軌道)<π*<σ*となっていますので、σ→σ*よりも小さなエネルギーでπ→π*遷移する事ができるのが解ると思います。つまり、π結合が多ければ多いほど励起状態になりやすいということですね。
では、n→π*遷移の方が簡単なんじゃないの?って考える人がいると思いますが、鋭い!!その通りなんです。エネルギーはもっと小さくていいので、より可視部に近い方で吸収が行われます。しかし、nとπは全然違う性質のものなので、基本的には混ざりにくいのです。水と油が混ざりにくいのと同じです。これを禁制された遷移といいます。事実n→π*遷移はUVで観測する事ができますが、その吸光度は小さい値となります。しかし、π→π*遷移よりも長波長側で観測することができます。この、n→π*遷移はn電子があって、π*結合が存在する場所でしか起きません。なので、n電子をもつ原子は例えば窒素原子や酸素原子となります(n電子は孤立電子対や非共有電子対ってやつですね)。さらに二重結合や三重結合などのπ結合が存在しないといけないので、カルボニル(C=O)やニトリル(C≡N)、エノン(C=C=O)など二重結合や三重結合などのπ結合を含み、n電子をもつ原子団でしか観測できない事となるので、これらの構造を解析することが可能です。
以上これら電子状態を観測し、さらにカルボニルなどの特徴的な官能基は特徴的なスペクトルを示すため全体の構造が大きく異なっても特徴的な官能基さえ同じならば電子状態はほぼ同じなので同じようなスペクトルを得ることができると言うことです。